筆者は当サイトの記事の結びによく、しゃみしゃっきり、を用いますが、
これはどうも飛騨地方だけに特有な言葉のようですね。
さて、筆者はあれこれ図書館で文献を調査したわけでもなく、
唯一資料といえばたったふたつ(鉄の木琴、青い赤帽)、筆者の子供のころの記憶とネット検索です。
まずは筆者の子供のころの記憶をお披露目しますと・・。
大人に昔話を聞かせてもらって、はいおしまい、の言葉がしゃみしゃっきり。
つまりは共通語訳は、めでたしめでたし、と言う事なのでしょうね。
恐ろしい結びで終わる昔話というものはありませんので全ての話がハッピーエンド、
これを英語では All is well that ends well. 終わりよければ全てよし。
大西村では飛騨方言の会話でも同語は時々用いられていましたね。
勿論、大人同士でも。
例えば家族の中で大人の話合いで延々と議論が続いたものの結論が出た時に、
これでしゃみしゃっきりや、と言えば議論終了、以後の動議は受け付けません、
という暗黙の了解が我が家にはあったように思います。
次いでネット情報ですが、同語をキーワードに検索しますと
飛騨の民話についての記事がずらりとヒットしますので、
飛騨俚言である事が容易に実証されます。
当サイト記事を書くにあたり安心して使用できる語彙という訳です。
さて、以上が前置きで同語の語源がテーマです。
不肖佐七辞書のしゃみしゃっきりに記載している通りですが、
筆者は、三味線がしゃっきり、が語源ではないかと推察します。
民間語源もいい所です。字面を追って初めに結論ありきです。
さて同語のアクセントですが、しゃみしゃっきり▼○○●▼○。
そして三省堂のアクセント辞典によれば東京式アクセントですが、
三味線しゃみせん○●●●、なれど実は、三味しゃみ▼○。
そして、しゃっきり○●▼○、というオノマトペの記載もありました。
さて飛騨方言は純東京式アクセント内輪系の代表選手
なのでつまり同語は音韻学的には、三味しゃみ▼○+(オノマトペ)しゃっきり○●▼○という、
つまりは複合語の一種である接合語であろうと考えるとドンピシャリなのです。
この言葉にはアクセント核がふたつ存在する事に注目してくださいませ。
がしかし息の切れ目はありません。しゃみしゃっきりと一騎にしゃべります。
ですから分離語では勿論ありません。飛騨方言の分離語表現は、
しゃみは、しゃっきり▼○▼、○●▼○。
あるいは、しゃみゃあ、しゃっきり▼○○、○●▼○、でしょう。
分離語についてはアクセント学用語一覧
をどうぞ。しゃみしゃっきり。
おまけ
筆者ですが、六弦(=ギター)をやりますが三弦(=三味線)は弾けないんですよ。
今、ギター+しゃっきり、三味線+しゃっきり、のキーワードでそれぞれネット検索しますと、
まとまった情報が得られます。
旋律、姿勢、弾き方、弾いている時の気持ち、名演奏を聴いた時の
気持ちなどについて用いられる副詞句のようですね。
しゃっきりとした旋律をしゃっきりとした姿勢でしゃっきりとした気持ちで弾くと、
聴く方もしゃっきりとするのです。はい。
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