大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

飛騨人が泣けてしまう言葉・若い港

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私の親戚が大の軍歌好きなのですが、 決して戦争でいい思いをした訳でもない、 振り返ってみればつらかった事ばかり、今になって ようやく懐かしく思い出す事が出来る、というお話を聞けばなるほど忌むべき戦争、みごとなまでの負け戦の 鎮魂歌をつい口ずさまれるお気持ちが分かります。

前置きはさておき、泣けてしまう言葉・唱歌われは海の子 に飛騨の山国に生まれ育った私は海に生まれ育った事を 賛美するこの歌が実は心の底から歌えないとお書きしました。 また同文章に三田明さんの歌・若い港の事もお書きしました。 こちらは震えるほど好きな歌なのですが、 一言でいえば憧れですが、先ほど来すこし考えていて、 やはり歌詞にも答えの一部があるようです。
よんでるぜ よんでるぜ 七つの海が はやく来いよと よんでるぜ
の出だしは東京語そのものです。 よんでいるぜ、の短呼化が"よんでるぜ"、です。 そして、飛騨は糸魚川・静岡の西に位置し、 典型的な、居る、を使用する地域です。 歌詞を飛騨方言訳すると、
よんどるぞ よんどるぞ 七つの海ゃあ はやく来いよと よんどるぞ
となりましょう。 結論ですが、飛騨方言に訳してしまってはとてもでは ありませんが、歌う気持ちになりません。 東京語であるからこそ、憧れて歌う気持ちになれるのです。 田舎の小学生が聴いた流行歌、歌詞はいなせな東京語です。 別稿・私が飛騨方言を話さない理由・劣等感 の再掲で申し訳ないのですが、 "山手線の車内、高校生と思しき若者らが、 助動詞・ぜ、の男性言葉で何気なく話しているのが、 粋な言葉に響く"のです。

余談ですが東京語では、むしろ、はやくきな、 でしょうか。つまりは、来いよ、は東京・飛騨共通と 言う事になりますが、おそらく、はやくきな(よ)・はやくこい(よ)、 どちらにすべきか推敲されたのでしょうね。

ですからひとり口ずさんでみる分には、少年佐七も すっかり東京っ子なのさ、きまってるだろ(=きまっとるろう、飛騨方言)。

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