大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
やっとかめ(=やっと) |
戻る |
私:昨日は飛騨の高山方言「やっとで(=やっと)」について語った。表題の通りだが、第二弾という意味です。 君:「やっとかめ」と言えば代表的な尾張方言、それをまたどうして? 私:土田吉左衛門・飛騨のことば、に同語の記載がある。僕自身が話した事が無いし、僕が生まれ育った村の人々が話すのを聞いた覚えも無い。濃飛の境、つまり南飛騨、で話されていたという事なのだろう。 君:百歩譲ったお話ね。では、今日は語源のお話ね。 私:うん。語史としてはスタートが明瞭だ。まずは、やっと、と言う近世上方語が存在した。意味は、沢山。体言的な意味であるものの、分量が多いという意味の副詞に品詞転成し、江戸文学にも表れるようになる。これが全国に広まり音韻変化し、現代の全国の方言になった。 君:「やっとかめ」の地域は? 私:愛知、岐阜、滋賀、この三県には方言資料がある。 君:尾張から、美濃、飛騨、近江、に広まった感じね。語源も見え見えだわよね。 私:その通り。ようやく、ずいぶん時間を経て、という意味だから、つまりは、七日目の次の日が八日目か「やっとかめ」という事なのでしょう。アクセント学的にも、全て平板の複合名詞という事で説明可能。 君:つまりは如何にもありそうなお話という事ね。 私:音韻学的に、つまりはアクセント学的に、そしてソシュール言語学的にあっているので、僕としては確信に近い。或いは「やっとかめ」は若しかして八十日目の意味だろうか。 君:それを言うなら「はちじふ八十」よ。もっと大きい数字なら「やほ八百」「やち八千」があるわ。 私:なるほど。「やっと」の語感だけれど、「や」に時間が長いという意味があり、促音便で、やれやれ終わりだ、の意味がありそうだね。 君:民間語源としてはウサギと亀ね。ゆっくりゆっくりと、ようやく到達という意味で「やっと」+亀。ほほほ |
ページ先頭に戻る |