大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 文法 |
接辞とは |
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私:当サイトは飛騨方言を中心にするものの気ままに国語学全般について考える場であるので、話題には事欠かない。 君:先だっては接尾語、接頭語について議論して、ようやく今日は「接辞とは」ですか。ほほほ 私:語とは何かという命題が一番に大きな命題かな。語は単純語と合成語から成る。 君:それは誰でも納得。 私:単純語はそれ以上の分解は不可能。合成語は分解が可能で、複合語と派生語に分かれる。 君:そのへんから説明をお願いね。 私:うん。まずは派生語だが、これは接頭語か接尾語から成る合成語。そして複合語とは接頭語も接尾語も含まない合成語。 君:接頭語、接尾語、これでは長すぎるので両者を合わせて接辞というのよね。 私:そう。接辞という言葉を使ったほうが俄然、すっきりした言い方になる。つまりは派生語は接辞を含む合成語、複合語は接辞を含まない合成語。 君:つまりは合成語は接辞を含む・含まないにより派生語・複合語に二分類されるという事ね。 私:うん。全く同じ意味だな。 君:つまりは単純語とは接辞を含まず、複合語でもない言葉ね。ほほほ 私:うん、つまりは複合語は単純語でもないし、接辞も含まない言葉。ははは 君:そしてつまりは派生語は単純語でもないし、複合語でもない言葉ね。もう、切りが無いわ。これを読まされる読者の方々はうんざりよ。 私:語構成については上記がわかっていれば十分だろう。今日は「接辞とはなんぞや」、つまりは「派生語とはなんぞや」という話題だ。 君:では接辞の定義ね。 私:うん。接辞とは語構成要素の一種。さて語を構成する要素のうち、語の意味的な中核をなし、単独で語を構成する事も出来る要素を「語基(base)」と呼ぶのに対して単独で語を形成する事が出来ず、誤基と結合して形式的な意味を添えたり語の品詞を決定したりする要素を指す。 君:要は語基は自立語であるのに対して、接辞は非自立語だわね。接辞と助詞の区別はどうするの。ほほほ 私:接辞も助詞も共に非自立語だね。ただし、助詞は活用しないが、接辞は活用する事がある。例えば、形容詞活用語尾は接辞。女っぽい、女っぽく、男っぽい、男っぽく。つまりは「〜ぽい」が接尾語。 君:ほほほ、接尾辞は名詞にも付くし用言の語基にも付くという事ね。用言の場合は、何の事はない、形容詞、形容動詞、動詞の活用語尾、という事ね。 私:そうだね。女っぽい、おしとやかだ、やわらかだ、色めく、もったいぶる、おとなぶる、かわいがる。 君:それを言うなら、あわれっぽい、ひややかだ、うめく、ていさいぶる、いやがる、と言う事かしら。 私:うーん、逆襲か。接尾辞は活用する事が証明された。結論だが、日本語の助動詞の大半は接尾辞である。このように接尾辞についてはどのような品詞を構成するかという事で分類するのが常套手段。更には使役・受身・希望などの帰属性で表現する。もうひとつ、接尾辞には重要な機能がある。 君:ほほほ、「右側主要部の法則」 (Righthand Head Rule) (Williams 1981)。 私:そうだね。語の品詞を決定している主要部は、語の右側の部分である。 例えば、英語・日本語・中国語では、三言語とも、品詞を決定している部分が最も右よりの形態素、即ち接尾辞である、と言う事。たかが言語学、されど言語学、時々は発見がある。 君:では続いては、接頭辞のお話ね。 私:うん。接頭辞は接尾辞と違い、品詞性を変えないのが特徴で、語基になんらかの意味を付け加えるのが特徴。例えば、お寺、か弱い、たばかる。 君:「たばかる」なんてあまり使わないわよ。 私:計略する、つまりは「た」+「謀る」だね。「たぶらかす」なんて言葉もあるぜ。「たはく」バカな事をする、つまりは「たはけ」なんてのも派生語だ。ぶっ 君:わかったわ。確かに、品詞を設定する、という機能は無いわね。 私:うん。でも例外的に漢語の否定接頭辞「不・未・無」は名詞性や動詞性の語基と結合して形容動詞語幹を形成する。例えば、不道徳だ、未発達だ、無関心だ。 君:ではおしまいね。 私:折角だ。接頭辞、接尾辞を議論したので接中辞のお話もしよう。日本語には接中辞が存在しないといわれているが、戯れにゼロ接辞、接中辞と言う原稿を書いた。飛騨方言「的」解釈、とか、これって接中辞ではあかんの?無関心的不道徳反対、これって「ネグレクト行為に反対します、だめ、絶対」ってな意味で通ると思うけど。 君:残念ながら、そこまで単純語を詰め込み過ぎると複合語なのよ。シンプルにいきましょう。接頭語はひとつだけ、接尾語もひとつだけ。 私:なるほど、確かに「詰め込み過ぎ言葉問題解決法解説第一弾発表延期取り消しトラブル」とかね。 君:そういうのをドイツ語的というのよ。英語では単に of の繰り返し。 私:お話おもしろさ、かな。 君:お話的エンタメ効果ね。ほほほ |
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