複合動詞・〜まくる、複合動詞・〜まわる、は共に飛騨方言では、〜まる、に
なるようですね。
もっとも意味が似通ったふたつの言い回しですから大騒ぎをする事では
ありません。私の興味がたまたまそこに向かったというだけの事です。
今日の話題は動詞の種類という事ですが、
中学ではせいぜい自動詞・他動詞・可能動詞、程度しか教育されないのですね。
アスペクトという言葉を知るのは大学で国語教育を
受ける人だけかも知れません。
結論ですが、飛騨方言の複合動詞後項動詞・まる、
が移動動詞、方向動詞、変化動詞に接続すれば、それは勿論、複合動詞・〜まわる、である、という事なのですね。
また逆は必ずしも真ならず。ここにひとつの飛騨方言の複合動詞後項動詞・まる、
があっても日本語動詞のアスペクトに合致すれば複合動詞・〜まわる、の
可能性があるが、勿論必ずそうとは限らない、すべては文脈で決まる、という事
なのですよね。
例えば、もちまる、なんていう飛騨方言があります。動物園に遠足へ行ってよせばいいのに
いきなり土産を買ったのでその土産を一日中もちまった、といえば持ち回ったという
意味です。持ちまくった、とは意味の上で大違いです。
また、さっきから電話しまっていったい何事やい!??、という文例ですが、
携帯電話はいざ知らず加入電話ないし公衆電話で、つまりひとつの箇所で次から次へと
相手先に電話している様です。
移動も無い(掛けるのは同じ場所の同じ機器)、
方向も無い(要は電話番号というものに掛けるだけ)、
変化も無い(要は受話器を握っているだけ)動作というわけです。
またひとつ気になるのがアクセントです。まくる、には実はアクセント核(く)があるが、
まわる、にはアクセント核がない。ところが、飛騨方言では、〜まくる、という
意味で、〜まる、と言ってしまうとトンデモハップン後項動詞内のアクセント核を失ってしまうのです。
つまりは複合動詞〜まくる、複合動詞〜まわる、では飛騨方言においては全て
前項動詞にアクセント核が移動する。
なるほどそやぞ、2007年の飛騨方言の文法知識の発見第一号記事でした。しゃみしゃっきり。
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