大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 音韻学 |
ちんびくさい2(=ちいさい) |
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私:ちんびくさい(=ちいさい)にお書きした通りだが、続きを。 君:えっ?今更書き足すことなんてないわよ。 私:天下の書・飛騨のことば(土田吉左衛門)に向かって物申す。 君:音韻学ね。ち、に、子音ん、が挿入されただけよ。強調の意味。 私:結論を急ごう。同書では、ちんじきさい、を見出しとしている。派生語としては、ちんびきたい、ちんびきない、ちんびくさい、ちんびくたい、ちんじきさい、こんびきさい。つまり飛騨方言ですら派生語は六個も、やはり同書は飛騨方言研究のバイブルだな。ちなみに語数は約一万だ。 君:だから何を言いたいわけ? 私:語源はちびくさい。となると、僕の主張はただひとつ。ちんびくさい、が見出しのほうがいいんじゃないかな。事実、大西村では、ちんびくさい、は使うが、ちんじきさい、とは言わないんだ。 君:自分の思っている事だけが正しいと考えないほうがいいわ。飛騨は広いのだし、語ごとの頻度なんてわかりゃしないわよ。 私:では、猶更の事だ。★ちびくさい、から、ちんびくさい、が生まれた。★★ちんびくさい、から、ちんびくたい、が生まれた。★★ちんびくさい、から、ちんびきさい、が生まれた。★★★ちんびきさい、から、ちんびきたい・ちんびきない・こんびきさい、が生まれた。つまりはこのように三層構造の音韻体系になっている。一番の進化系が、こんびきさい、あたりかな。派生語のルーツは、ちんびくさい、で決まり。 君:なるほど。一理はあるわね。 私:もっと深堀りもできる。ちびる禿、は近世末期の言葉にて、バ行上二段動詞の「ちぶ」の活用が転じたもの。つまりは上記の音韻変化は明治になってから。★は子音の挿入、★★は子音の交替、★★★は更に子音の交替の繰り返し。これは言語の一方向仮説とも合致する。一度変更された音韻は元には戻らない。 君:加えるに、音韻変化はひとつづつ、じわりじわりと生じていくとおっしゃりたいのよね。 私:然り。複数の音い変化が同時多発的に生ずるなんてあり得ないな。 君:それはあなたの勝手な思いよ。ほほほ |
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