純文学

老人と海

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2020年正月にヘミングウェイを偲んでキューバの聖地巡礼をして参りました。彼が生涯愛したハバナの町と人々、郊外の別荘、小説・老人と海の舞台となった漁村・コヒマル、以上の三か所です。「老人と海」は有名な小説ですが、そこを敢えて、粗筋を一言で、そして小説の意味も一言でお書きしましょう。

粗筋ですが・・老人が小舟に乗って大物(まかじき)を狙って外海に出たところ、運よく獲物をしとめたものの、港に戻る間にサメの大群に出くわしてしまい、夜通しサメとの死闘が続くのですが、命からがら港に戻れたのは良いものの、肝心の大獲物はサメに食べ尽くされて骨だけになっていたというお話です。

そしてヘミングウェイがこの小説で書きたかった事を一言で表せば・・人生で最も大切なもの・それは失敗を恐れず挑戦するという事・失敗か成功か、人生を結果だけで評価する事は間違いであり、悩み考え抜いて挑戦し続ける人生にこそ価値がある・・という事ですね。このノーベル文学賞作品は決して冒険小説ではありません。

さて、私が医学を志したのが アメリカテレビ映画・インターン 1971放映の通りですが、高校二年生の時でした。その後、医学部に進学し、大学病院に勤め、留学し、開業し、今なお医学を追い続けている私ですが、実はそのような本業のお話ではなく、マルチ人間が少し変わった記事をお書きしましょう。

私の人生の最大の挫折は、実はオートバイコンプレックスです。これについても別記事にお書きしました。2008年、55歳の時にオートバイ免許が車校で取得できる事を知ってから今日に至るまで、十年以上に渡るオートバイへの挑戦が始まりました。

★家内をうまく説得して車校に入学する事に理解を得るのに数週間、かかりました。
★入学金を銀行から降ろしたものの、決心して入学するのに三か月もかかりました。
★入学した後は仕事と車校通いの両立の為に散々な苦労を味わいました。
★なんとか数か月で大型自動二輪の免許が取得できました。してやったりの天狗。本当の苦労はこれからだと言う事に気づく由も無し。
★いきなりホンダゴールドウイングを購入しました。重量500キロ。ディーラー先から自宅までいきなり一人でまたがって乗って移動するのに死ぬほど怖い思いをしました。
★数週間でかなり慣れてきたものの、乗って一年ほどしたところ、両手の腱鞘炎、腰痛などが次々と出現、リハビリしながらの孤独な訓練が続きました。
★オートバイが俄然、面白くなってきたので連日、ブログを書きました。
★このブログがなんと炎上。お金さえあれば誰でも買えるし誰でも乗れるオートバイを自慢げに書くのは見苦しい、というご意見です。誹謗・中傷の書き込みが数日で一万件以上になりました。つまりは日本一有名なライダーになってしまいました。名前も住居も特定されてしまいました。
★それでも、決して間違ったことは書いていない、という信念にてブログの更新はしませんでしたが、閉鎖はしませんでした。
★以後ですが、目立った行動は慎むようにしました。一番の思い出が、岐阜県可児市の自宅と青森県下北半島の突端・大間の往復2400キロです。無泊40時間で完走しました。これなら多分、ゴールドウイングライダーとしては日本一の記録でしょう。ベンチでなんども仮眠をしました。
★それでもブログ炎上の事が忘れられません。ゴールドウイングはジジイの乗るバイク、若者が乗るオフロードバイクにも乗れないくせに、というご主張です。
★この点について一番の問題は座高です。ゴールドウイングは75センチ、オフロードバイクは89センチです。身長が165センチの私はゴールドウイングにまたがって何とかやっと両足の先が着地するのてすが、座高が更に14センチも高いオフロードバイクはまたがっても足が地面につかないので一般的には操縦不可能です。足が付かない以上、発進も停止も出来ません。
★ただし、低身長のライダーが工夫してオフロードバイクに乗る動画が幾つかユーチューブに公開されていました。
★こうやれば私でもオフ二輪に乗る事が出来るのでは、と何か月もイメージトレーニングをしました。
★意を決して二台目のオートバイBMW1200GSを購入しました。ディーラー先から自宅までいきなり一人でまたがって乗って移動するのに死ぬほど怖い思いをしました。ホンダゴールドウイングを購入した時と同じ恐怖体験です。
★一年もBMW1200GSに乗りますと随分と慣れてきました。流石に今は足がつかないオートバイでも乗りこなせるようになったのです。
★ただし、慣れるといってもアスファルトを走っただけの私です。オフ二輪を自由に乗りこなせるというのは未舗装道路を走れてこそ、という事なのです。
★まずは知り尽くしている道路・奈良奥山ドライブウェイをBMW1200GSで走ってみました。未舗装道路とは言え、かなり整備された道路なので難なく完走する事が出来ました。世界自然遺産の中を走る道路なので舗装は禁止されているのです。
★そして最終目標・旧中山道をBMW1200GSで走る事が出来ました。中山道は鉄道の中央線が出来てその目的を失いましたが、岐阜県部分は大半が生活道路として残っている日本でも数少ない歴史街道です。しかも部落を走る部分は流石に舗装されていますが、実は御嵩宿から大井宿までの里山の部分が未だに未舗装道路なのです。一般道につき四駆等で走行可能な道路です。
★さて、未舗装道路走行の難易度は舗装道路のそれに比し百倍です。道路とタイヤの摩擦係数がゼロに近く、つまりは氷の上を走っているに近いのです。しかも道はデコボコなので微妙なアクセルワーク、波状路走行の技術が求められるのです。山の中の未舗装の中山道ですが、苔むしていて、落ち葉も多く、自在にステップ荷重でステア走行する技術がないとたちまちに転倒してしまいます。
★更には、このような道路は日本には少なく、訓練の機会は限られます。
★つまりは未舗装の中山道をBMW1200GSで走るといっても、いきなり本番、の世界です。
★怖いから挑戦はしたくないが、ここで逃げたら生涯、後悔するぞ、と自分に言い聞かせて意を決して中山道に突撃したのでした。
★イェーイ、大成功。転倒する事なく、なんとか完走出来ました。走っている途中はアドレナリン全開にて runner's high すら体験してしまいました。
★一応の達成感は有りますが、次なる目標が無いわけではありません。BMW1200GSでの海外ツーリングです。アフリカの大地とか。勇気は・・・あっ、あります。計画は練っています。ただし、時間がありません。どうしましょう、私。

今日の結論を一言で、未舗装の中山道をBMW1200GSでいきなり本番、挑戦した私が感じた恐怖は以下の参考動画の彼のそれと同等だったかも知れません。

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