飛騨方言の動詞命令形については別稿・
特徴その一、
特徴その二、
女性編、
男性編、
をご参考までに。さて本題ですが、例題・わかれよ、は
飛騨方言では二つの意味がありアクセント(○弱,●強)で区別します。つまり
意味その一。 わかれよ○●○○。分かる、の命令形れ+方言文末詞よ。
つまり分かりなさい、理解しなさい、という意味。
意味その二。 わかれよ○○●○。別れる、の命令形れよ。
つまりくっいでいないで離れなさい、別れなさい、という意味。
更には方言文末詞よ、を、別れよ、の命令形に接続させて、
わかれよよ○○○●○、と言っても飛騨方言のセンスに合うと思います。
命令形の意味を更に強める表現で、本当にもういいかげんにしてさっさと
別れなさい、という意味になりましょう。アクセント核が移動・ひとつ後ずさりする事に
注目してください。
このパターンに気づくと、要は〜れる、という末語でありしかも可能動詞でない動詞
(実は、★分かる・別れる、がよい例)をさがすと応用題が作れます。
例えば、★張る・晴れる、ところが残念な事にこの場合は
アクセントまで共に同じ、はれよ○●○、です。
つまりはどちらの意味で使うのかは、文脈、会話の流れで判断するしかありません。
★振る・触れる、も同じです、発音・アクセントともに
、ふれよ○●○、です。
ところが、★(雨が)降る・触れるは、降れよ●○○・触れよ○●○、
ですからアクセントが決め手となり、同音異義語の悲劇は生じません。ほっ。
次から次へと書ききってしまってもいけませんね。
このへんで止めておきます。
お暇な方はどうぞ。
さてこの言葉のお遊びは可能動詞は不可、というところがミソなのです。
もともと可能動詞に命令形はありません。
例えば、★眠る(自動詞)・眠れる(可能動詞)、の組み合わせの場合、
ねむれよ○○●○、は眠りなさい、という意味です。
眠れるようになりなさい、という事ではありません。
(ネイティブだからこそこういう面白い事に気づくのでしょうねえ。)しゃみしゃっきり。
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