大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

飛騨方言・かかれ、の語源に関する一考察(4)

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別稿に飛騨方言・かかれの語源について 近隣県の同意語からの推察下一段動詞欠けるの命令形説 斯くあれ説 を記載しています。 本稿ではまた別の語源説を記載し、ひとつの見方をお示しします。

荒垣秀雄著・北飛騨の方言には、実は、かかりあい、という言葉が記載されています。 意味はかかれ、と同じです。漢字は掛かり合いが充てられています。 同書は明治〜戦前までの吉城郡の方言を記載した書です。 さてアクセントですが、かかれは○●●、共通語の掛かり合いは○●●●●です。 従って掛かり合いが連母音融合及び短呼化して、かかれ、に変化した事が 納得できます。ただし筆者自身は、かかりあい、は話しません。

そして意味は、となると考え込んでしまいます。 掛かり合いになる、つまりは関係を保つという意味ですが、 一般的にはキチンと関わりを持つという事ですから、よい意味で用いられると思います。 がしかし、一応は関わりをもつ、という意味にかわり、終にはキチンと 関わりを持っていない、いいかげんな関係しか保っていない、という 全く正反対の意味で用いられるようになったという事でしょうか。 しかも一世紀を経ずして、という事なのらしいのですね。ふーむ。

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