別稿に飛騨方言・かかれの語源について
近隣県の同意語からの推察、
下一段動詞欠けるの命令形説
斯くあれ説
を記載しています。
本稿ではまた別の語源説を記載し、ひとつの見方をお示しします。
荒垣秀雄著・北飛騨の方言には、実は、かかりあい、という言葉が記載されています。
意味はかかれ、と同じです。漢字は掛かり合いが充てられています。
同書は明治〜戦前までの吉城郡の方言を記載した書です。
さてアクセントですが、かかれは○●●、共通語の掛かり合いは○●●●●です。
従って掛かり合いが連母音融合及び短呼化して、かかれ、に変化した事が
納得できます。ただし筆者自身は、かかりあい、は話しません。
そして意味は、となると考え込んでしまいます。
掛かり合いになる、つまりは関係を保つという意味ですが、
一般的にはキチンと関わりを持つという事ですから、よい意味で用いられると思います。
がしかし、一応は関わりをもつ、という意味にかわり、終にはキチンと
関わりを持っていない、いいかげんな関係しか保っていない、という
全く正反対の意味で用いられるようになったという事でしょうか。
しかも一世紀を経ずして、という事なのらしいのですね。ふーむ。
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