円形広場  

アートシーン


鈴木芝風 書作品展
書く描く2020-初春(はつはる)
2020年1,2月
名古屋



1月18日(土)に、句会仲間の芝風(しふう)さんの書の展覧会に行ってきました。芝風さんは、書家で俳人なのです。

会場は「小さな図書館 十六文庫」です。地下鉄桜山線の瑞穂区役所駅で降りて、南へ少し歩き、左へ曲がり、少し行きます。そうすると左にありました







◆会場の十六文庫の前には、展覧会の案内がありました。

では、素敵な作品を見て行きましょう。


芝風さんの作品  
扉を開けると、そこは文字通り小さな図書館。
先ず目に入るのが、
季語たちの書です。
「杜鵑花」(さつき)「春めく」など、ありました。
私は春めくの春のヽが特に
気に入りました。
               

 「犬の咬み合い」 
拙著『読んで、書いて二倍楽しむ美しい日本語』で
紹介した
江戸時代の漢詩をもじった詩
「犬咬合」を
芝風さんが気に入って
書かれたものです。

いっぱいある
いったいなんでしょう。
一つ一つの椀という字が、
可愛いにも見えてきます。         

「ひなたぼっこ」 
文鳥も
机の
上で
ひなた
ぼっこ」

自在な筆遣いに感動。        

「落ちこぼれ」 
春きざし
『落ちこぼれ』てふ
銘菓食う

この 
きりんのようだ。        

 「『独楽吟』より」
たのしみは
人も訪(と)ひこず
事もなく
心をいれて
書(ふみ)を見る時

橘曙覧(たちばなのあけみ)

二階に上がる階段の突き当たりに展示されていました。

このようなた無上の時間を
もつことができれば
良いなと、
芝風さんの書を見て
思いました。
          

 『立体の書」
一画一画、一枚一枚の
アクリル板に書かれて
いました。
それらが最後に壁に集まり

になりました。
魅力的な作品でした。

芝風さん
楽しい展覧会
ありがとうございました。
         

遊五人展
2019年5月
松 山


2019月11、12日と、今年も松山に行ってきました。

松山は良く晴れていました。朗読会は去年と同じく大盛況。昨年のサハリン旅行を題材にした「サハリン、賢治そして白鳥湖」を、資料を配布して朗読しました。

今年も、アクリル画に挑戦しました。さらに大きな作品も1点加えました。

  ・冬の胎内川
  ・夏のユジノサハリンスク
  ・秋のウオツカ


の3点です。


遊五人展を動画で見ることができます。愛媛CATV遊五人展2019をクリックしてください。
★遊五人展2015もみることができます。愛媛CATV遊五人展2015













 
朗読会  
                      超満員でした。
(写真は武馬)

 右は栄浜(スタロドゥブスコエ)

わたくしが樺太の人の居ない海岸を
ひとり歩いたり疲れて睡つたりして
ゐるとき
とし子はあの青いところのはてにゐて
なにをしてゐるのかわからない
・・・・・・・・
遠くなつた栄浜の屋根はひらめき
鳥はただ一羽硝子笛を吹いて
玉髄の雲に漂つていく

 
宮沢賢治「オホーツク挽歌」                 

 
武馬の作品  
アクリル
                      冬の胎内川  胎内川は、 新潟県胎内市を 流れる川です。

 
               
夏の ユジノサハリンスク  サハリン州の 州都です。



秋のウオトカ  サハリン土産です。




                      

 
                      展示は、こんな感じです。

 
東さんの  作品    

自らの
木の葉の芸術を語る東さん
                


 
岡本さんの  作品    
ますますポップに
                

小西さん  田村さん  竹田さんの  作品

左から小西さん、田村さん、竹田さん

       

 
世良さんの  作品
  
トーク中の世良さん

 
久我さんの  作品
                   川原の石のオブジェと写真

 展示場
はこんな
感じです。
              以下省略
すみません


  
この階段を上って右へ行くと展示場です。





  
階段を上がって左へ行くと素敵なカフェです。

来年をお楽しみに




遊五人展はなんでもしたくなる遊五人展
2016年5月
松山



2016年5月14、15日と、今年も松山に行ってきました。
上天気でビールはうまいし、キャメルKのオープンエアの喫茶はくつろげるし、来場者も次から次で申し分なしでした。
14日の朗読会は大入りでした。飛行機の間引き運行で始まりには間に合わず残念。最後に登場させてもらいました。新作「タージ・マハールにて」と「地理学家咖啡館にて」を朗読しました。共に紀行文風の幻想的散文です。今編集中の『武馬久仁裕散文集』に収録します。黎明書房から9月に刊行予定です。
パソコン画に飽きたので(というのは方便で、あまりに作品の水準が高くなってきているので危機感を覚えて)、今年は、アクリル画に挑戦してみました。昨年のインド旅行でのスケッチをもとにした以下の7点を出品しました。
・永遠のインドは今日も振り向かず
・エアインディアのスチュワーデス
・カイラーサ山を揺するラーヴァナ
・ビー・ビー・カ・マクラバー
・釈尊を誘惑するマーラ(魔王)の娘
・オートリクシャー
・シヴァ神




 
朗読会  
                      大入満員でした。
(写真は小西さん)

 
岡本さんの作品
                        ポップアート そのもの!


緑のフジヤマを背景にサムライ。
ナルト模様のフジヤマ、
裾orハカマ?は,ぼろぼろ

支離滅裂の作品
「粲」
実に面白い


 久我さんの作品
                        これは なんという動物 でしょう?

  濱田さんの作品
                        誰もが 本格的な作品と 言われます

 
 竹田さんの作品
                        たまご王国の 繁栄


 
 東さんの作品
                        海賊船 これ、鉄! のオブジェ


 
世良さんの作品
                        抽象表現への道


小西さんの作品

観客の視点とともに。

z 
 武馬の朗読

何を指さして いるのでしょう?
                        

 
武馬の作品
                        初挑戦の アクリル画です

タイトルは
永遠のインドは
今日も振り向かず


  












「オートリクシャー」

 













「シヴァ神」
               







「カイラーサ山を揺するラーヴァナ」


アートのある風景を求めて・東京根津



松本秀一 銅版画展


愛媛の版画家・松本秀一さんから個展の案内を頂いた。
2015年10月6日-10月18日。東京都文京区根津2-29-4 
℡03-3827-1925 
リブレ
11:00am-7:00pm(月曜休み)
松本さんの個展は一度見に行ったことがある。繊細なタッチの版画でした。画廊には居られず、来場者名簿に、「岐阜県可児市」と書いて失礼した。「随分遠くから来られたのですね」と画廊主。実はたまたまNHK俳句王国に出演する為に松山に来ていたのである。
そうとは知らない松本さん。後ほど「いつもいるわけにもいかず」というお手紙をいただいた。
案内状のエッチング「キッチンの魚」と、恥ずかしげもなく私の素人パソコン画とコラボしました。トップページがそうです。ご笑覧ください。
●ちなみに、松本さんは俳句のグループ「船団の会」の仲間です。歌人でもあります。



アートのある風景を求めて・名古屋



第50回主体展


伊藤明美さんから案内を頂いたので、9月23日(秋分の日)に愛知県美術館に第50回主体展を見に行きました。伊藤明美作「Pose」は、 膨大な作品の中で異彩を放っておりました。
帰りに受け付けに伊藤さんが居られました。主体美術の『創立50周年記念誌』を頂きました。
 お会いできてよかったです。
12月16日(火)~21日(日)まで、伏見のギャラリー名芳洞(住所は下記)で「伊藤明美個展-一生を懸命に-」を開催されるとのこと、楽しみです。
名古屋市中区錦一丁目20番
 12号 伏見ビルB1
 ℡052-222-2588

 
 伊藤明美さんの作品「Pose」                     

 伊藤明美作「Pose」は、他を圧していました。緻密な筆遣い、重厚な肌合い、巧みな色面の分割、全てが総合して素晴らしい作品になっていました。
 『創立50周年記念誌』の「主体展・私のこの一点」に書いておられた「待つ人」の発展として「Pose」はありました。





アートのある風景を求めて・松山


第5回 遊五人展

2014年5月10日(土)晴れ。
中部国際空港から松山へ。

私は昨年から参加。参加者は左の案内状の7人。子規記念博物館館長で詩人の竹田美喜さんを除き船団の会員です。

4時からは「詩と俳句の朗読会」があった。これには今年初めて参加。夜は船団松山の句会。そして、深夜まで一杯。 

次の日は嬉しいことに、大学時代の友人の矢野夫妻が名古屋から来てくれた。感謝!


 
 昨年とは違った方向から写してみました。
                        町屋のアートオアシス           キャメルK

 

 階段を上って行くと、右がギャラリー。遊五人展が堂々開催されていました。

左がカフェ。多くの人はまずカフェへ行き、くつろぎます。

 

 いよいよ中に入ります。
入ると入口の左に美しい花が飾られていました。船団の仲間の中原幸子さんからでした。
感激!!


 

 右回りで見て行きましょう。

入るとすぐ左には、素人とは思えない小西昭夫さんのパステル画があります。


 
 見ているとぞくぞくっとしてきますね。あの横眼が。
そして、わずかに顔も目線に合わせて横を向いたところがこの絵の眼目でしょう。

小西さんの最高傑作
「ドール」です。


 

 竹田美喜さんのお母様と愛猫とが同じ屋根の下に生きるしあわせが、写真につづられています。

 

 15年一緒にすごした我が家の猫が、最近死にました。
さびしいものです。
いつまでも息災に。

 

 岡本亜蘇さんのパソコン画です。衝撃の成長ぶりです。

お薦めの1点を、紹介しましょう。

 

     花 と 茶 碗
     岡本亜蘇

 

  世良和夫さんの写真です。  抽象と具象の狭間の素敵な写     真です。

テーブルの上の赤い物は、私の作品です。

 
フィレンツェの写真2枚と、名古屋の夜の写真と、電話と女性の絵の4面からできています。

絵にある句は、次の通りです。

 秋暮れてフィレンツェよりの
 電話あり

 

     噛み合わない
     世良和夫作

 


 私、武馬久仁裕の作品です。

  ロシュフォール10
    武馬久仁裕


付いている句は次の通り。

 トラピスト修道院ビール
 飲む
 平和

    池田澄子さんへ
    武馬久仁裕


池田澄子さんの次の句とコラボさせていただきました。。

人類の旬の土偶のおっぱい

    

 渡部ひとみさんの写真です。

我々とは目のつけどころが違うなと、ただ感心。
次の写真を見てください。

    

渡部さんの写真には題がありません。

    
東英幸さんの作品です。昨年の作品は、ギャラリーに溶け込んでいましたが、今年は自己主張がはっきりなされていました。
2台の自転車は鉄の造形作品です。凄いのは丸い車輪も作ったとのこと。もちろん、回ります。

    

 遊五人展はこんな感じです。

午後4時からいよいよ「詩と俳句の朗読会」(無料)が始まりました。皆でじゃんけんをし順番を決めました。。

 1番は世良さん。
 2番は武馬。私は『玉門関』から「春」と「秋」を読みました。

    

 3番は東さん。
 4番は渡部さん。


    

 5番は小西さん。
 6番は竹田さん。


最後は、小西さんが愉快に〆ておしまい。成功裏に終わりました
 
一言あっという間に1年たちました。去年が昨日のことのように思えました。しかし、みんなの上達ぶりと見ると、確実に1年はたったのだと、実感しました。来年は、あっと言わせてみせます。(武馬)



  2013年10月12日(土)
 午後3時に名古屋の伏見にあるGalleryA・C・Sに『吉岡弘昭全版画1967-2012』(阿部出版)を受け取りに行く。
 5月の吉岡さんの個展の時に予約したものだ。
 本だけだと本体価格6000円。
版画作品1点付きは、30000円。
 私は、もちろん版画付きを頼んだ。
 名古屋の誇る吉岡弘昭画伯の版画付きなのだ。以前から欲しかった1枚、THE DOGを選んだ。
 この日は風が強く、バス停に着くまで、版画が吹き飛ばされそうで困りました。
 *ご注文はGalleryA・C・Sへ。℡&Fax 052-232-0828

 


         左は     
    吉岡弘昭全版画   
     1967-2012

     
の表紙です


吉岡さんの版画は、ユーモラスであると同時に、微かな哀しさを湛えている。



  2013年5月11日(土)
 雨のち晴れ。

 愛媛県松山市のギャラりー「キャメルK」で「遊五人展」が開催された。そこで、セントレア(中部国際空港)から飛行機に乗って松山に行ってきた。
 
 今年の「遊五人展」から、僕(武馬)も参加したのだ。
 中心になっている東さん、岡本さん、小西さんとは何十年来の俳句仲間だ。
 土曜日の夜は、松山の人たちとお酒と句会を楽しんだ。
 楽しい二日間でした。

 松山は、いい! 


 
 キャメルKは、市の繁華街からちょっと離れた閑静な所にあった。松山商業のすぐ近く。
            
                           町屋のアートオアシス           キャメル

 
 2階に、ギャラリーとカフェと工芸品のお店がある。 
 キャメルのオーナーはアートコンシェルジュの清水恵子さん。
 用事がなくても行ってみたくなる素敵な所だ。                   

 
 階段を上がった左がギャラリー。
 
 まず、展示されているのが、小西さんの「寺村通信氏」と題された自画像。                     

 
 
 小西さんはパステル画。                     

 
  パスが生み出す、桃ならぬ桃二つ。左から「中年」「磧」。
 作者ならぬ作者の淋しき自画像一つ。 

 以下、右回りでギャラリーをぐるりと鑑賞。                    

 右は、

    たまご王国の繁栄
’13吾輩と母上の満たされた日々


 子規記念博物館館長の竹田さんの写真。                     

 
 その中の1枚。ガラス戸の外を眺めている老女と猫。
 二人の背中が共通の人生を生きる姿を写し出している。 

 鑑賞者の視点から見ると、外は何の変哲もない植木鉢。                    

  小西さんの絵から奥の方を見ると、こんな風。

 正面に見えるのが世良さんの写真だ。          

 
 写真家にして俳人の渡部さんの写真。                    
 題材は台湾、日常、身の回り。

 
 こちらを向いて嫣然と微笑む女は広告の女。
 帽子をかぶっている女、笠をかぶっている女は、顔の見えない後ろ姿の生身の女達。
  しかし、写真の中では、どれもが同じだ。

 矩形に分割された空間に、寒色と暖色が配された、ノスタルジックなひと時。                    

 
 ゴッホの麦畑のような世界を飛ぶ一羽の燕。

 世良さんの作品だ。

 
 パソコンの内蔵する図形のパターンによって構成された岡本さんの不思議な世界。

 
 右は「窓」なる作品だ。
 上の白い男は下の青い窓の向こう側に立っているかのようである。
 そう見えたので、作者は影のように薄い黄色の⊿を青い窓につけたに違いない。
「偶然こそが創造の母である。」
           (岡本亜蘇)

  これは、ギャラリーの備品ではない。東さんの作品である。
 鉄で出来ている。
 「銀河鉄道」の世界を、鉄のテーブルと鉄の二つの椅子で表現する空間芸術である。
 もちろん、宇宙空間に座って歓談することもできる。

 
 片側の一本の線路を走っているのが汽車である。
 汽車の影がうまく撮れなかったのが残念。

 黄色い椅子は『銀河鉄道の夜』に出てくる星座を表現している。

 これが、武馬のパソコン画10点。

 見に来ていただいた方々から、これらの絵は、どのように描いたのか? というご質問をよくいただいた。
 「スケッチをスキャンし、それにパソコンで色を着けました」 

 昨年のインド旅行の成果3点。
 旅行先でスケッチするのが、僕の旅行の楽しみ。

 
 この絵には

永遠のインドは今日も振り向か

 と書かれています。

 これで御終い。
 また、来年!
 

 一言 絵が描けたらいいなと思っていたのですが、中々きっかけが掴めませんでした。それが、4年前ノルウェーに行ったとき、ふと絵心が動きました。稚拙なフィヨルドの絵でした。それを色々な人に褒めていただき、いい気になって今日まで描いてきました。しかし、展覧会に出品できるなんて思ってもみませんでした。
 それが、五人展に加えていただいて、夢のようです。みなさん仲間に加えていただき、ありがとうございました。(武馬)


 
 11月26日8日(土)晴。
 名古屋の電気文化会館5階のギャラりーへ、「個性溢れる女性4人の」合同展「エスプリ」へ行く。
 根石和子さんの新作を見るためだ。
 
 


 
 「エスプリ展」の看板の立派さにびっくり!
            
  
                              電気文化会館
午後4時

 根石さんの絵は5点。
 彼女の絵の子どもたちは、旅の世界で「あそぶ」。
 だから、5点の絵の初めに来るのは「旅の計画」。(左から3番目の絵)
 あと4点は、全て題が「あ・そ・ぼ」である。                          

 
  コーナーを挟んだ展示の仕方は言うに言われぬ変化を生み出しており、好ましい。
                          

 子どもたちが地図を見下ろしている。いや、これは地図ではなく、混沌とした地上そのもなのだ。
 この混沌とした地上から一本の腕が右上に突き出ている。                   
          「旅の計画」

 この地上には、幾つもの渦が巻いているのが見える
 
その渦をたどっていると、日本列島が見えてきた。
 
混沌の日本列島を見下ろしなら子どもたちは、旅の計画を練っているのだ。
 
その真剣な眼差し。
 

 美しい緑色の絵だ。手と目と顔と腕によって構図ができている。カンバスの長方形の枠と拮抗する緊張感のある画面になっている。
 
これは、一番右の大きな女の子が左の8人の子どもたちを守り、左から5人目の大きな男の子が左の4人の子どもたちを守るというモチーフからもたらされた構図だ。
              「あ・そ・ぼ」

 この絵は、見ればわかるように、左右のカンバスは上下にずれている。このずれが、世界が一つでありながら、二つに分かれているという画家の認識を表している。
 その証拠に、右のカンバスの列車は逆さまで、左の列車は逆さまでない。(建物はその逆になっている)実に面白い。

 世界は、幾つもに分割されている。

 大きなヘリコプターのようなものに乗って大空に上って行く、子どもたちがいる。子どもたちは元気だ。一人の女の子が、今まさに元気に空に飛びだそうとしている。

 しかし、画面は、黄色が基調で明るいが、楕円形の空飛ぶ乗り物を取り巻く世界は、平穏な世界とは思えない。
 左上隅に置かれた暗く青い四角の部分は、それを暗示している。


              「あ・そ・ぼ」

 この絵も、単に大きな絵を描くのに一つのカンバスでは足りなかったから、上下二つのカンバスで描かれたと解してはならない。

 光を失った太陽が、ちょうど画面の真ん中に二つに分割されてあることに注目しよう。

 上段のノアの方舟のような大きな
乗り物に向かって、子どもと犬のような動物が上昇して行く。そして、あまたの生き物が列車に乗って大きな乗り物を目指している。
 太陽や月や恐竜さえ上っていく。
 上段は救いの世界である。
             
             「あ・そ・ぼ」

 あらゆる個性が、一つの大きな乗り物に乗っている
 
そして、途切れることなくどんどん乗って行く。

 乗り物を見上げ、女の子が「あ・そ・ぼ」と言っている。

 右の白い子は「あ・そ・ぼ」と叫んでいる。 

 ここでも世界は分割されてある。
 
 ああ、女の子の服の模様が、ぱらぱらと女の子から離れて行く。

            「あ・そ・ぼ」                       
一言 絵を見終わったあと、近くの森田酒造直営店「ねのひ」で、画家を囲んで歓談。おいしい酒でした。





 
 7月30日(土)に、名古屋市民ギャラリー栄に、恵土孝一さんの個展を見に行った。

 恵土さんはスペイン中部(カスティリア・ラマンチャ州)の世界遺産の街クエンカに2009年~2010年にかけて1年間滞在された。

 その成果である素晴らしい作品40点が展示されていた。
 
 



 朱に染まったクエンカの旧市街を、紺色の服を着た少年が描いている。丘に腰をおろして。




            クエンカを描く  

 真っ青な空のもと、クエンカの旧市街とその背後の山々を描いている、紺色の服を着た少年がここにもいる。



             旧市街遠望  

 この絵には、2つの視点がある。 この絵を正面からみる作者の視点(A)と、絵の中の描く人物の視点(B)である。
 それが、この絵に奥行きをもたらし、眺望を完成させている。  

 この絵も先の「クエンカを描く」同様の構造を持っている。
 鑑賞者は、無意識のうちに2つの視点からこの画中の眺望を楽しむことになる。
 複数の視点が鑑賞者の内部で統一され、 より豊かな鑑賞=体験をもたらすのである。

 そこで思い出したのが、山水画である。たとえば、右の前島宗祐の「高士観瀑図」(16世紀)(稚拙な模写で済みません)。

 滝に面した露台で二人の脱俗の人物(高士)が、描かれていない左の風景を眺めている。
 鑑賞者は、正面から滝のある山水を眺めると同時に、画中に入って高士に寄り添って画中の世界を眺めて楽しむのである。
 露台には酒もある。水は清く景色もよい。極楽である。

 これと同じように、クエンカの眺望を画中の少年に寄り添って楽しむことも悪くはないと思ったしだいである。  

 誰しもこの青い戸を開けて中に入りたくなるであろう。
 そのような欲望を持つ全ての人のために、ここには誰もいない。
 人々は左から、もしくは右から青い戸の前の白い道を歩いてくる。
                     

               青い戸口      

一言 絵だけでなく、当日会場でいただいた『私は旅にでることにした 絵かきのスペイン滞在記』も面白く、どこが南欧の金融危機か、クエンカは日々穏やかに、にぎやかに過ぎていく。私も、毎日、ワインを飲んで食べて、そして、マヨール広場でジプシーの歌声を聞いて感傷的になってみたい。





 
 4月16日(土)、午後4時少し前に、名古屋の伏見にある、ギャラリー名芳洞に到着。
 THE PARTY 2011に出品している伊藤明美さんの絵を見るためだ。

 一つの顔が割れて中から別の顔が現れ、両眼は私を見ている。
 左右に別れた左目も右目も、私を見ている。
 この三点の絵を見ている私は、左の後景の目と、右の前景の目にとらえられ、不安定な状態になってしまった。  

  仏像に、顔が割れて中から別の顔が出てくるものがあったことを思い出した。
 確かこんなだった。
 宝誌和尚立像とか言った。
 平安時代の木彫りの像だ。
 中から出てくる顔の額に出現した仏様は観音様である。

 そこで、伊藤さんの絵で、ためしてみることにした。 

① まだ赤く眼が充血した顔だけだ。 

 ② 赤い顔が割れ、中から男の顔が現れてきた。  

 ③ 男の顔は、だんだん明瞭になってくる。  

 そして、結果は、
 ④ 左右の目は、私を見据える目であり、中央に出現した人物の目は、私を審問する目であった。
   

一言 伊藤さん、四面を、この「三点一組の顔」で飾る個展をやられたらどうでしょう。真中に立つことを思うと、ぞくぞくしてきます。
 最後に。すみません、伊藤さんの絵に仏像のまねをさせてしまって。




   

 

 1月30日(日)、旧友、梅村哲生さんの個展に行ってきた。
 場所は、名古屋市民ギャラリー矢田。


  会場に入って驚く。四方の壁面すべてに天井から床面一杯に巨大なコラージュ?が貼られている。
 これが、最近の彼のテーマ、日本の巨木かと納得する。  

 巨木は宇宙樹だ。生命(いのち)の樹だ。そして、巨木を中心として様々な生命が様々な色をまとい動いている。あたかも巨木を寿ぐかのように。
 ギャラリーの中心に立ち、私は目を閉じてみた。生命の息遣いを感じるために。   

 この日は嬉しいことがあった。
 昭平(木村)さんもここにやってきたのだ。20年ぶりだろうか。
 「(私の最近の句集)『玉門関』は、本当のことか本当でないことか分らないことが書いてある。面白いからぜひ読みなさいと妻にも言った」と昭平さん。さすが画壇の奇才木村昭平。分かってくれている。 

 となりの展示室では同時開催の第1回無名舎展をやっており、そこで10年ぶり?に高本尚往さん、伊藤明美さんに会う。 
 みんな元気に絵を続けていたので、嬉しくなってしまった。

これは、無名舎とは関係ありません。巨木の裏打ち南京袋です。

一言梅村さんの絵の展示法なのだが、壁面に貼り付けるのではなく、全部天井からぶら下げた方が良いのではないだろうか。展示室の空間全体にぶら下げられた巨木をぬって、鑑賞して回るのも面白いと思うが。
 それにしても、とても良い日でした。
   Copyright K.Buma,2011