大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

がんどうち

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飛騨方言「がんどうち」は名詞ですが、ひな祭りの供物或いはお菓子を半ば強制的にもらっていく、あるいはかっぱらうようにして盗み取る事です。例えばネット記事としては飛騨経済新聞2012.03.05にありますように
飛騨・益田地域各所で3月3日、桃の節句に子どもが近所訪ね回りお菓子をもらう行事。この風習は愛知県三河地方や岐阜県山間部などに今も伝わるもので、飛騨地方では益田(ました)地域にのみ今なお残る。ハロウィーンの「Trick or Treat」と通ずるものがある。「強盗打ち」と表記し「盗みとりごめん」の意味。かつては男児のみが家を回り、女児は家でそれを出迎えた。時代とともに男女関係なく回るようになった。一応『良いおひなさまですね』などと、お世辞を言ってゆく子もいてほほ笑ましい。地元では子どもと地域の人々が互いに顔を覚え、礼儀作法を教える機会として大切にしている。
との事ですが、思わず目が点、萩原ではひな祭りは3月3日ですか。私の故里・久々野町大西村は萩原の上流20キロほどですが、旧節句で4月3日です。民宿赤かぶの情報も発見しました。岐阜県下呂市萩原町上呂2141、やはり3月3日です。グーグルマップで見たら青年民宿の看板が、タピーテント6張り可の看板情報も。若いお方は下呂温泉ではなく、このような宿にお泊りになるという事なのてしょうね。いずれにせよ。萩原町上呂のひな祭りは3月3日という事が確認できました。

「がんどうち」の風習は南飛弾瀬川温泉・美輝の里からも情報発信がありました。なんと「ひなさまみせとくれ」の表記にびっくり、飛騨方言としては元々は「みしとくれ」だと思うのですが、ムムッ残念と申しますか、令和の時代には既に音韻変化してしまっている、という事なのでしょうか。

肝心の語源ですが、「強盗打ち」の表記にありますように、強盗が語源ですが、この語も当然ながら古語辞典に見られる言葉です。岩波古語では・・がんだう(・ドウ)【強盗】《唐音》・・―打つ 強盗に入る ・・の記載です。唐音は漢音に比して圧倒的に少ないので、日本語としては読みが馴染みが薄いと思いますが、あんどん・行燈、あんぎゃ・行脚、は現代語ですが、岩波古語には、あんぐう・行宮、あんざい(しょ)・行在(所)、あんじゃ・行者、あんり・行履、以上の五つの記載がありました。残念ながら、と申しますか、岩波古語には「がん・強」の音韻の言葉は「がんどう強盗」のみでした。「あん・がん」と「行・強」ですから音韻の対応があると考えるべきでしょう。

おそらく民間語源という事になると思うのですが、飛騨方言では大きな木を倒す大きな鋸の事を「がんど」といいますので「がんどうち」は、つまりは、「がんど」+「打ち」から来ているのでは、という説があるようです。さあ出かけますよ、という事で、この大きな鋸をガンガンと叩いた事が「がんどうち」の由来、という説もあるようです。

ついでてですが、泥棒の古語と言えば、「さっくわ擦過/察化」「じら痴」「じれもの痴者」「たうじん唐人」「ちゅうたう偸盗」「ぬすびと盗人」「やじりきり家尻切」「あしげびと悪人」「あぶれもの溢者」「いたづらもの従者」「くせびと曲人」「くせもの曲者」「さがなもの性無者」「じんちく・にんちく人畜」「だいかま大鎌」「にしもの賊」「にんぐぁい人外」「にんぴにん人非人」「ねいじん侫人」「ふたうじん不当人」「わうだう横道」「わろびと悪人」まだまだありそうですが、きりがありませんね。岩波古語「ひるがんだう昼強盗」で締めくくりとしましょう。日中に、大胆に強盗をする事です。つまりは飛騨方言「がんどうち」とは、「ひるがんだう」なるわらべ、の事だったのでした。おあとがよろしいようで。いつもクリック有難うございます。
私は男ですから端午の節句には我が家に何メートルもの大きな鯉のぼりがあって嬉しかった事も覚えてはいるし、祖母が作ってくれた柏餅の味も忘れらませんが(おばあちゃーん)、寧ろしっくり来るのが我が家のひな祭りです。前立腺癌を患い薬物療法中である事を私の全ての患者様に話していますが、内分泌療法の影響でしょうか。娘二人と家内の四人家族全員が集合した時の合言葉が、さあ女子会。ぶふっ。実は以下の通りですが、ひな祭り情報は書いても端午の節句情報はまだ書いていませんでした(汗)。
ひなまつりのわらべ歌
ひなさまみしとくれ、おぞてもほめるに
生きびな祭り
ひなまつり、玄関にごめん!と、びいの声

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