大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

音韻変化の法則

戻る

私:日本語の音韻変化には当然ながら法則がある。記紀の時代の音韻がわかっている。現代までにどのような音韻の変遷があったのか、国語の歴史の書にあれこれ記載されているね。
君:今夜はザクっと日本語の音韻の歴史という話題ではなく、そもそもがどのような基本法則で日本語の音韻が変化してきたのか、という命題ね。
私:名著の復刊、講談社学術文庫・金田一京助・日本語の変遷。
君:じゃあ、簡単に内容を紹介してね。
私:うん。日本語はおおかた四つの法則により音韻変化が生じて現代に至る。音韻脱落、音韻同化、音韻交替、音韻転倒。
君:音韻脱落は説明が要らなそうね。かははら河原が、かわら、の類よね。音韻転倒も説明が要らないわよね。あらたし新、が、あたらしい。
私:そう。あまり説明は要らないと思う。音韻同化は説明が要る。自動詞の他動詞化で、例えば、およぶ及・およぼす、ほろぶ亡・ほろぼす、等。「う」の影響で、「おう」になる事。要は母音の三角形の事。母音調和を証明した有坂・池上法則がそれ。連濁無声化も音韻同化。
君:音韻交替というと音韻転倒と同じ事なのかな、と思うわね。
私:その通り。言葉が微妙に音韻変化してしまうのが音韻交替だ。音韻転倒は二つのモーラが単に逆転する事、つまりは入れ替えするだけの簡単な現象。音韻交替は音韻転倒とは違い、かなり複雑な作用であり、バリエーションに富む。子音の交替が有名だが、他の例としては鼻音の交替、母音と半母音の交替、等々、種類は多い。
君:つまりは音韻交替の説明は容赦なく割愛するのね。ほほほ
私:言い出せば切りがない事は割愛するに限る。今日もスッキリ、日本語の音韻変化の歴史というわけだ。音韻の脱落・同化・交替・転倒、以上の四つしかないと覚えておけば気が楽だね。
君:更には「脱同交転」のキーワードで覚えておけばいいのね。ほほほ

ページ先頭に戻る