大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
とちかんじょ(クスサン) |
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私:クスサン(樟蚕/楠蚕、Caligula japonica)はチョウ目・ヤママユガ科のガの一種。身近に生息する大型の蛾。飛騨方言では、とちかんじょ、という。アクセントは平板。 君:これの語源ね。わかったのね。 私:。小学館日本方言大辞典に「とち官女」の記載がある。飛騨と木曽で話される言葉。俚言に近いね。 君:飛騨方言のアクセントが共通語・官女(頭高)と明らかに異なるので、でなかなか語源が特定できなかったのよね。 私:その通り。官女、は頭高アクセント。三人官女は中高アクセント。飛騨方言では「とちかんじょ」は平板アクセントなので、語源として音韻が「かんじょ」に近い何かがあり、そのデフォルメが飛騨方言であろうと思い込んでいた。過去に何篇かの記事を書いた。 とちかんじゅ てんす(=てぐす) とちかんじょ・飛騨方言、のアクセント 副題・官女と怪獣、美女と野獣 むすばる とちかんじょ・飛騨方言 君:あら、アクセント各論のコーナーにきちんと語源について記載しているじゃないの。 私:一応は当語源コーナーにも記載しておこうと思って。再掲といわれてもしかたない。 君:折角だから何か付け足したほうがいいわよ。 私:はいはい。さてもうすぐひな祭り、飛騨は旧節句で祝う地方(下呂は別かな)なので四月三日。それはさておき、僕が子供の頃、戦後だが、飛騨の村々では七段飾りの御家は皆無に近かったかな。我が家だが、お内裏様はあったが、三人官女も、五人囃子も、左右大臣も、三人仕丁もいなかった。代わりに土雛が沢山あった。お相撲さんとか、軍人さんとか。 君:なるほど、飛騨の各ご家庭の雛飾りに三人官女はいなかったのね。 私:そう。だから「とちかんじょ」も古くは中高アクセントだったのだろうけれど、いつの間にか平板アクセントになってしまい、そして語源がわからなくなった、というのが事の顛末だろう。 君:アクセントの大原則、頭高・中高はいずれ平板化する、という規則ね。頭高のメールが今では平板とか。国民の大半が使用しているのでしょうSNSのラインもいつの間にか平板アクセントね。ほほほ |
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