大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
子音の脱落 |
戻る |
私:2021/12/18 までの子音の脱落に関する原稿は以下の通りだった。年末につき忙しい。中々、時間が無い。結論としては、飛騨方言では母音の音韻変化に比して子音の変化は極めて少ないという傾向がうかがえる。全国の方言でも同様だろうね。例によって簡単に説明しよう。 飛騨方言名詞・好きやお 「やお」がギア方言にならない理由 この二つの原稿だが、飛騨方言文末詞「やお」について書いた。語源は「じゃよ」。戦後には「やよ」になり、平成・令和になり、若者を中心として飛騨・岐阜市で使われているようだ。半母音の脱落という事であり、厳密な意味では子音の脱落ではない事はお許し願いたい。 やわい・飛騨方言 飛騨方言では「支度・。準備」の意味だが、語源としては「やはす」連用形「やはし」の子音の脱落なのかもしれないね。 サ行イ音便 サ行イ音便・その2 サ行イ音便というか、イ音便そのものが子音の脱落だね。だからこれは純粋に子音の脱落の問題。簡単にひと言、上古の京言葉であったサ行イ音便だが、飛騨には残るが肝心の京言葉では消滅、というか先祖返り、つまりはサ行動詞連用形は音便しなくなった。同音衝突を嫌って、という事が理由だろうが、飛騨ではなんとか使われている、というお話。 無声化母音と飛騨方言指示代名詞「あすこ」 これは初期の原稿かな、お許しいただきたい。「かしこ」という言葉があるから、或いは語頭の子音の脱落かも、少し荒唐無稽な話と言われても仕方ない。ここは僕にとって娯楽の場といってもいいので、かってな想像を書く事にしている。 えがむ(=ゆがむ) これも厳密な意味では半母音の問題なので、あまり子音の脱落とは言わないかもしれないね。 こっともない、こんともない これも、今、読み返してみて、なるほど私ってこんな事を考えていたのか、という再発見原稿なのだが、「こっともない」の語源は「買うともない」、なるほどソシュール学的には合っているのかな。 岐阜新聞Web 2020/2/3 これもお許しいただきたい。係助詞「は」が「ぁ」に音韻変化する問題だが、厳密には半母音の問題という事になるのだろう。 飛騨方言・しゅうえんとジューンブライド 祝言「しゅうげん」を飛騨では「しゅうえん」というので、これは明らかな子音の脱落。 君:何の事はない、飛騨方言に於いて確実に子音の脱落と言えるものはサ行動詞連用形イ音便と俚言「しゅうえん」。他は「ヤ・ユ・ヨ・ワ」の半母音の問題という事ね。 私:「やよ」から「やお」なんてのはいかにも子音の脱落だが、やはり半母音問題かな。嗚呼 君:いいじゃない。サ行イ音便も最近ではほとんど話されないのだし。飛騨方言には子音の脱落は有りません、とでも言ったほうが気持ちが楽じゃないかしら。 私:東京語もそうだろうね。東大寺諷誦文稿などからは奈良時代の飛騨方言の聞き取りにくさが推し量られようというものだが、近世語・近代語あたりから飛騨方言は随分、聞き取りやすい方言になったという事なのだろう。 君:ほほほ、そこで出来る言葉があるわね。 私:そう。「東京人なりすまし」遊び。飛騨を離れ、東京に進学、あるいは就職しても、音韻・アクセントが江戸語とほとんど変わらないので、意外となりすましの成功率は高いと聞いている。ただし飛騨の若者が京阪神に進学・就職の場合、畿内方言を真似るのは気恥ずかしさが邪魔をして、かなり困難にお遊びという事になる。 君:をこなり。ほほほ |
ページ先頭に戻る |