このコーナーには、私がコツコツと飛騨方言の勉強をやって来て本当に良かったと感じた記事をまとめて再掲します。方言を突き詰めて考えると、国語の歴史が丸わかりです。思わず語源に出くわしてビックリするような事も多いのです。何故、私は飛騨方言にのめり込んでいるのか、それは簡単な理由、つまりは面白いからです。
まめ(元気)・・・まめなかな、に関連して、「こまめ」は戦後の言葉、「まじめ」は江戸時代の言葉のようですね。
どんねもない(どうってことない)・・・この言葉はありふれた飛騨方言だと思うのですが、各種方言辞典、資料その他を渉猟しても記載がありませんでした。若しかして本邦初公開情報ではないでしょうか。
四段のようで四段じゃない・・・四段動詞が口語で上一段に移行したおかしな動詞があります。「飽く」「借る」「足る」から「飽きない」「借りない」「足りない」。これに気づいている飛騨出身者はほとんどいないのでは、と推察いたします。つまりは「気づかない方言」としては横綱級と言えますね。
げばす(失敗する)・・・当サイト開設以来、「げばす」の語源は何だろうと考え続けてきました。十四年ほどかかりましたが、ついに日葡辞書に「Caqefazzuxi, su, uita (掛け外す)飛び立つ鳥に網を投げかぶせようとして、かぶせそこなう」を発見しました。あきらめずに夢を追い続けて本当に良かったと思いました。国語学、方言学の研究者の方々が誰も気づいていない情報です。
上代特殊仮名遣い・・・動詞「ひる干」は上一段動詞ですが、古代には上二段動詞だったという事から、全国の方言にその痕跡が無いか調べてみたいと、フト思いました。数十分で「ふぃーしゅ」沖縄県首里方言につまりは痕跡を発見し、思わず歓声をあけてしまいました。
やっぱり(やはり)・・・飛騨方言で「やっぱり」というのは何故だろう、こんな事を大真面目に考える飛騨人っていないでしょうね。私は変人なので、何故だろうと思い、各種資料を当たってみました。日葡辞書に Yapparacaide gozare ヤッパラカイデゴザレ「じっとしていなさい」の記載があって全てが明らかになりました。平凡な言葉はつまらない言葉だと思わない事ですね。
やわう(準備する)・・・私の最大の興味が語源です。「やわう」の語源って何だろう、これについて十年以上、考えていました。ある日、突然に気づきましたが、上代では「いはふ」だったのだろうがハ行転呼で「いわう」になるべきところを「いゃわう」の音韻、やがてあっという間に「やわう」の音韻へと変化したと考えるとドンピシャリという事に気づきました。ハ行転呼は日本語音韻史において平安時代の大事件とでも呼ぶべき現象です。つまりは「やわう」事件の舞台は平安時代だったのでした。
かわいそうだ・・・飛騨方言では「かわいそうだ」の意味で「かわいい」と言います。これに関して、三拍の「めぐし愛」形クですが、語源は簡単、「め目」+「くし苦」ですが、これが全国の方言になっている事を発見。
みぎり(右)・・・飛騨方言としては死語に近いと思うのですが、「右」の事を「みぎり」というとの資料を発見、各種辞典にあたって全てが判明しました。古代和語は「みぎり・ひだり」だったのでした。
しりべた・けつべた・・・お尻は飛騨方言では「しりべた・けつべた」ですが、実は頬のへた「ほっぺた」と同じ語源である事に気づいてしまいました。
飛騨方言・またじの由来考(金沢・富山・新潟・飛騨の四角関係)・・・「またじ」は金沢の方言ですが、飛騨白川郷に伝わり「ゆきまたじ」という言葉が生まれたと考えるとドンピシャリ。わかる人にわかるでしょう。
しんばれ(しもやけ)・・・「しんばれ」の語源は「しみはれ」ですが、「あーれこわいさ、しみるなぁ」という挨拶語と密接に関係していると考えざるを得ないですね。ある日、突然に気づいてしまいました。
新鮮ばってんこげんうまむなかばい 九州・・・九州方言「ばってん」は逆説条件の意味のようですね。となれば、という事で古語の逆説条件はと言えば「ばとも」でしょう。五島列島の方言に「ばとも」そのものを発見してしまいました。
けん「出来たけん・美味しいけん」西日本・・・方言文末詞「けん」ですが、語源は古語「からに」ですね。
水尻自子みずしりよりこ、はんちくたい(=くやしい)(1)・・・故郷があるという事はありがたい事、私が飛騨方言に興味があるのは飛騨という故郷があるから。私は飛騨の方言の神様に愛されていると思います。
おりょっ?(あれっ?)・・・他愛もない言葉ですが、全国の方言を調べたところ、「おりょ」が使われる地方と「俺」の事を「おり」という地方がピタリと一致してしまいました。果たして偶然の一致で片づけていいのでしょうか。
まいか(助動詞特別活用(特活))・・・飛騨では「いかまいか」、美濃では「いこまいか」ですが、明治辺りに四段動詞未然形が二つに分かれたから、というのがルーツのようですね。キーワードは「開合の区別・あう/おう」です。
自動詞・他動詞・・・学校で習う文法から頭が離れないから悩みが生ずるのです。常に頭をやわらかくして自由な発想で国語、方言を考えましょう。
「おぼわる」のパウル説・・・言語学の各種理論を使うと独自の方言学理論を編み出す事が出来ます。一種のお遊びです。
飛騨方言の下二段動詞の可能表現に関する一考察・・・たばる、うわる、おぼわる、これだけしかありません。何故でしょう。
ひとくみ(ひとみしり)・・・語源は「ひと」+「おくめん」のようですね。つまりは「くみ」=「おくめん」です。全国の方言を調べると必然的に導かれる結論です。飛騨方言の語源を知るには古語を知るだけでは不十分な事が多いのです。現在の全国の方言も視野に入れて総合的に考えられるか、という事が重要です。
「さ」という飛騨方言終助詞の正体・・・共通語においては詠嘆の終助詞「よ」で終わる主張文に対して納得した場合は納得という意味の終助詞「ね」で答えねばならないという法則があるようですね。飛騨方言では終助詞「さ」と終助詞「な」がこの関係にピタリと一致します。つまりは「さ」の語源は「よ」と考えざるを得ません。
かやしま(返)・・・語源は「かやしさま」。
くた・・・鶏の古語は「くたかけ」です。これに関してあれこれ全国の方言の調べものをしていた所、偶然にも島根県のある地方の方言を発見しました。あれ、確かあの人の故郷じゃなかったかな、と心に戦慄を覚えました。大急ぎでネット検索をしました。間違いありません。旧姓のまま、現在もご活躍である事も判明しました。あの人とは・・私が独身の頃、安城更生病院に勤務していた時に五歳年下だった助産婦さん、つまりは職場の女性です。ご家庭の事情とやらで急に郷里にお戻りになりました。私とはご縁が無かったという事なのです。今でも彼女を尊敬しています。ネット上とは言え、方言が取り持つご縁はあったのでした。一度、お逢い出来たらと思うのですが。となると40年ぶりですねぇ。彼女の事は家内には全て話してあります。
赤い・・・飛騨方言は東京式アクセントなので、東京のアクセントと微妙に異なる点がなかなか気づかない点です。というか、自分で気づくのは不可能に近いでしょう。
いぞく・・・本州・四国には「いひかひ飯匙」の方言は一つも無い。???なんだこれは?
・・・
|